便秘症

便秘症について

便秘症には明確な定義はありません。2~3日に一回しか排便がない人でも、おなかが張ったり食欲がなくなるなどの自覚症状がなければ便秘症とは言いません。
しかし、その時の便がかたい(ねり歯みがき粉くらいちょうどいいかたさ)場合は、便秘症といっていいでしょう。
一般には3~4日以上便通がないことを便秘と言っています。
当院では、排便を出しきれずに腸に残ったままの状態も、便秘としています。

治療法

便秘に対して、医師は下剤を処方し、患者さんは下剤を内服しようとします。しかし、この下剤の長期使用が自然な便意を失わせて慢性の便秘症を作り出します。便秘を治療するには、自然な便意を回復させることが大切になります。

まず食事については、野菜などの食物繊維を摂取するとともに、水溶性食物繊維であるポリデキストロースを1日7g(ファイブミニ1本分)摂取します。またバージンオイルを1日15g(大さじ1杯分)摂取するのも有効です。これらはいずれも、排便の促進効果があります。
薬ではセンナなどのアントラキノン系下剤を長期にわたって使用していると、大腸メラノーシスが生じて便意の消失が起こります。

アントラキノン系下剤以外の大腸刺激性下剤でも強制的に排便されているわけですから、結局は自然な便意が失われていきます。このため下剤の使用は、塩類下剤である酸化マグネシウムの1日3回内服を中心として、大腸刺激性下剤であるラキソベロンを頓用で追加します。さらに、便意を促すために新レシカルボン座薬を1日1回使用します。また、開腹術後などの腸管癒着がある場合には防風通聖散、麻子仁丸などの漢方薬の併用も効果が期待できます。

以上の治療を続けていくと数ヵ月の間に徐々に便秘が改善していくので、ラキソベロンを中止し、さらに酸化マグネシウや漢方薬を減量していきます。新レシカルボン座薬は自然な便意が現れるようになるまで使用し、便意が出現してくれば使用間隔を伸ばしていきます。薬が中止となっても食事療法を続けることが大切です。